2017-04-12から1日間の記事一覧

冬美少年とお稲荷さまの噺・其の壱

月明かりに照らされた黒髪が、さらりと揺れる。腕を伸ばして、彼の瞼にかかる髪をそっとよけると、その瞳にはいつもの光がない。陶器のような肌に指を滑らせ、そっと撫でると、彼は困ったように笑った。 こうして彼と共に夜を過ごすのは何度目のことか。肌を…